2022年9月18日「お金の用い方」藤井邦夫牧師

礼拝説教

アモス8:4~7、Ⅰテモテ2:1~7、ルカ16:1~13

 今日の説教題を「お金の用い方」としましたが、何かこの世の知恵的な題に見えますが
、わたしたちはこの世に生きているので、この世の生き方を抜きにはできません。そのこ
とを見ると同時にその時私たち信仰者にとって一番大事なことは神様、イエス様の前に出
ることでしょう。今日の日課からそれらのことを聞いてみましょう。
 今日の日課を与えられた時、わたしたちが戸惑うのは今日の福音書の日課の内容でしょ
う。そこには二つの戸惑う内容があります。一つは主人にとがめられた管理人が、主人か
ら首を切られた時に備えて、主人の証文をごまかして後のために備え、それに対して主人
が不正な管理人の抜け目ないやり方を誉めたということと、もう一つは不正にまみれた富
で友達を作りなさいということでしょう。どちらも私たちには納得しがたいものであるで
しょう。
 最初の疑問に対しては次のような理解ができます。わたしが使っている註解書には、こ
こに関する最近の理解が記されていました。それはこの管理人が油100パトス、を50パト
スに、小麦100コロスを80コロスに書き換えさせたのは、利息または手数料を差し引い
たのではないかというものです。利息としたらあまりに高いと感じられるかもしれません
が当時のエジプトでは食料に対する利息は50%であったそうで、そう遠くないイスラエル
でもそのようであった可能性はあるだろうと思います。イスラエルでは同胞に対する利息
は獲ってはならないという律法の決まりがありましたが、しかし利息を取っていたようで
す。この理解なら、実質的な損失にはならない主人はこの不正な管理人の利口なやり方を
誉めたこともうなずけます。
 2番目の方は比較的簡単に解決できなす。「不正にまみれた富」というのは何か不正を
して得たときという意味ではありません。今東京五輪の時の贈収賄に関して話題になって
いますが、このような形で得た富ということではありません。そうではなく当時の考えで
は富そのものが不正にまみれたものであるという考えだったのです。例えば時代が少し変
わりますが、イザヤ書の苦難の僕のところでこの僕が殺され、墓に収められる時「神に逆
らうものと共にされ、富める者と共に葬られた」という箇所があります。わたしたちは「
神に逆らう者と共にされ」はこの苦難の僕が死んでから悪者とされているという意味でよ
くわかるのですが「富める者と共に葬られた」ということで少しあれと思うかもしれませ
ん。富めるということはわたしたちには悪いことより、いいことのように思えるからです
。しかし富そのものに否定的な考えがあり、それゆえに富める者も否定的に考えられてい
たのです。だからここのところはこの世の富を使って友達を作るようにと言われたところ
です。
 この事を理解したうえで個々の結論的なものを見ると「友達を作るようにこの世の富を
用いなさい」ということと「この世の富を用いることに忠実でなければ、神様の働きに忠
実ではありえない。」ということと「神と富とに仕えることはできない」ということと思
えます。この事から私たちの生活にあてはめてみましょう。
 まず私たちはこの世に生きているのですから、この世の生活のために利用している富に
ついて、正しく管理することが大切でしょう。不正な形で利益を得ない。今日の旧約聖書
の日課を見れば、はかるためのマスを小さくしたり、測りの分銅を重くしたりしてその量

をごまかして利益を得ないこと。ただしく用いること。また使うときも自分が生活できる
ように正しく管理すること。この事が大切でしょう。そして正しく管理することの中に、
それを自分のためだけに用いるのではなく、友達のためにも用いること、そのことが示さ
れていると思います。友達を作る。その意味では友達と交流する、そのことのために用い
ることも大切であると思います。そしてさらに見るなら、先々週の日課でお返しのできな
い人を招くように言われていたし、今日の旧約聖書の日課から見ると、助けを必要として
いる、まずしいひとを踏みつけにせず、その人の助けになるようにもちいるこのことも大
切なこと、自分の富を正しく管理することの中に入っているでしょう。
 そして最後の神と富とに仕えることはできないというイエス様の言葉から考えると、神
様に仕えることと、富と同じように考えることはできないでしょう。神様を自分の神様と
しながら、また富をも自分の神として富に仕えることはできないでしょう。この世の富も
神様の御手の内にあることの中で管理していくことが大切でしょう。富を得たときは神様
から与えられたものとして感謝して受け取り、それを用いるときも、神様の御手の中で生
きるものとして、神様のためにも隣人のためにも自分のためにも用いることが大切でしょ
う。