礼拝説教
/2025年6月21、22日 聖霊降臨後第二主日説教要旨
「それでもあなたを捕らえたい」
イザヤ65:1-9、ガラテヤ3:23-29、ルカ9:51-62
イエス様のご生涯の働きの中で、今のわたしたちからは少し理解が
難しいのがこの「イエスが悪霊を追い出した」という出来事かもしれま
せん。しかし、この「悪霊の追い出し」は、イエス様のなさった働きの
中でかなり大きなウエイトを占めています。
今日の福音書の中では、「悪霊」にとりつかれたことによって、我を
失った状態になっていた人のところに、イエス様が赴かれます。今日の
このゲラサの人がどのような生活をしていたかが、今日の福音書の中で
は詳細に語られます。
この人は長いこと、想像を絶するような苦しみに捕らわれています
。彼は、イエス様のところにやってきますが、「神の子、かまわないで
くれ、頼むから苦しめないでくれ」と言います。彼を苦しめている何者
かが、イエス様に対して「聖なる者であるあなたはわたしとは無関係な
者である」と言わせているのです
しかしそのような状況の中にいたこの人にこそ、神の救いが訪れる。
これが今日の大切なメッセージです。ゲラサという異教の地、彼の負っ
ていた苦しみ、彼自身による拒絶・・・このゲラサの人とイエスの間に
は、二重三重に隔てがありました。しかしイエス様は湖の向こうからこ
の地にやって来て、この人に近づき、その人を苦しめているものから、
この人を解放してくださった。
この癒された人がイエス様についていきたい、と言ったとき、イエ
ス様はこう言われます。「神があなたにしてくださったことを、ことご
とく話して聞かせなさい」。あなたは、自分では手に負えない力に苦し
められ、どうすることもできなくなっていた。しかし、そのあなたに神
様が恵みを示し、御自分のものとして取り戻してくださった。そのこと
を告げ知らせよ、と主は言われるのです。
イエス様の「悪霊を追い出す」というお働き、これは人が、あるいは
世界が手に負えない混乱の中にあるときも、主はそれを越えて大きな方
であり、またその方がこの世界に目を留め、愛を示して下さったという
しるしです。たとえ混沌の中にあっても、神の恵みはすべてを越えて、
必ず届く。そのことに信頼しつつ、わたしたちもこの恵みを伝えながら
歩んでいくことができればと思います。